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棚卸資産とは
販売されることで初めて現金化される資産のことを棚卸資産といいます。
棚卸資産の中には、商品(外部から購入してそのまま売るもの)、製品(製造して売るもの)、半製品(そのままでも追加加工しても、どちらでも売れるもの)、原材料(製品を製造するために買い入れた物品)、仕掛品(製造途中のもの)、貯蔵品(金額的に大きくない原材料)などがあります。
棚卸資産の代表的な決算整理仕訳については「売上原価の話②(期末取引)」で一緒にまとめられているのでそちらをご覧ください。
棚卸資産の金額の計算方法
棚卸資産は、一つ一つの仕入れ価額が明確ならば、それらを積算することで合計金額が求められます(個別法といいます)が、商品の種類や数量が膨大な場合、このような管理が現実的ではありません。
そこで、先入先出法・移動平均法・総平均法など理論上の合計金額を算出する方法で棚卸資産の金額を計算することも認められています。
- 個別法:一つ一つの仕入価額を積算することにより棚卸資産の価額を計算する方法
- 先入先出法:先に仕入れたものから順次払い出しが行われたと仮定して計算する方法
- 移動平均法:仕入れるごとに、平均単価を改定する方法
- 総平均法:期首棚卸資産の取得価額と当期仕入資産の取得価額を、棚卸資産の総数量で除して計算する方法
棚卸減耗損
棚卸を実施した結果、帳簿在庫より実際の在庫が少ないことが分かった場合、「棚卸減耗損」を計上します。
「棚卸減耗損」は原価性の有無によって次のどちらかに表示します。
- 原価性あり:製造原価、売上原価の内訳科目
- 原価性なし:営業外費用または特別損益
仕訳例
・例1
期末に棚卸を実施した結果、帳簿価額1,000円のA商品の実際有高が500円であることが判明した。原因を調査したが、差異原因は不明だった。
(借)棚卸減耗損 500円/(貸)商品 500円
評価損の計上方法
棚卸資産は以下の場合、税法により評価損を計上することが認められています。
- 評価損の強制
- 届け出による低価法の選択
評価損の強制の場合
①当該資産が災害等により著しく損傷、または②品質の低下をした場合や当該資産が著しく陳腐化した場合に評価損を計上できる可能性があります。
目安として50%販売価額が下落した場合強制評価減の対象になる可能性が高いです。
仕訳例
・例1
当社工場が火災にあり、工場で保管していたB商品が著しく損傷してしまった。B商品は100円であったが、火災の損傷により評価額は30円になってしまった。
(借)商品評価損 70円/(貸)商品 70円
低価法の計上方法
低価基準を採用するためには税務署に届出を提出することが必要です。
低価法の時価には、「正味売却価額」を使用します。
「正味売却価額」とは、売価から見積販売直接経費を控除した金額をいいます。
仕訳例
・例2
当社はC商品を販売しているが、当期末のC商品の帳簿価額は1,000円であり、見積もり売価は800円だった。当社は税務署に低価基準を採用する旨の届け出をしている。
(借)商品評価損 200 円/(貸)商品 200円