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はじめに

前回「一言で『利益』と言ってもいろいろありますよという話」をしました。

実はこの「利益」ってある程度操作可能だったりします。

今回も少し簿記学習の話からそれてしまいますが、頭の体操に実際に「利益」を操作する方法を見てみましょう。

操作しにくい利益と操作しやすい利益がある。

まずは操作しにくい利益と操作しやすい利益があるという話です。

操作しにくい利益の代表は売上高と売上総利益です。

損益計算書を作成すると上の方に表示される利益です。

逆に操作しやすい利益としては営業利益や経常利益、当期純利益です。

損益計算書から見れば下の方に表示される利益ですね。

操作しにくい利益の例

例えば売上高ですが、これを操作することはかなり至難の業です。

かろうじてできる手段としては、得意先と交渉して商品の出荷を早めたり、遅くしたりして期末日間際の売上を調整することぐらいでしょうか?

これもやりすぎて、実際に出荷していない商品の売り上げを計上する(架空売り上げと言います)等の方法は取れません。

操作しやすい利益の例

操作しやすい利益の一つとして営業利益があります。

営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を除いた利益でしたね。

では、販売費及び一般管理費の中にどんな費目があるかというと給料手当というものがあります。

この時点で感の良い人は気づいたかもしれませんが、これが一番調整可能な費目です。

つまり、給料手当の計上金額を増減させることで営業利益の金額も増減して利益調整ができるわけですね。

ワークライフバランスという言葉が最近市民権を得たような気がします。

この言葉の考え方自体は良いと思いますが、経営者層が積極的に使用し始めたら注意が必要だと思います。

景気の良い会社は総じて従業員に比べて仕事量が多くなる傾向があります。

景気が良い会社の経営者なら残業してでも従業員に働いてもらいたいと考えるので、ワークライフバランスという言葉を積極的には使いたくないわけです。

逆に景気が悪い会社はどうかというと、従業員数に比べて仕事量が少なくなる傾向にあります。

景気が悪いので、売上高自体もあまり上がっていないのに、従業員に残業されて人件費が多額になると経営者層は困るわけです。

だから、ワークライフバランスという言葉を積極的に使うことで、従業員には労働環境が良い会社だと認識させると同時に人件費を削減することを目指したりします。

まぁ、すべての会社がこんな悪巧みをしているとは考えられないですが、最近景気が良くなってきたので思い当たる方もいるかもしれませんね。

あれ、うちの会社こないだまでワークライフバランスを謳っていたのに、最近急に残業を認めるようになったなと思ったら注意が必要ですね(笑)

今日のまとめ

上記で見たように損益計算書の利益の中には結構操作可能なものがあります。

特に日本では当期純利益を重視する傾向にあります。

新聞でも○○企業の当期純利益が大幅に改善されたという記述を良く目にするのではないでしょうか?

でも、この当期純利益という基準も絶対的な基準にはなりえないので、目安程度に考えるとよいでしょう。

理由は上記ブログでまとめた通り、経営方針で利益という基準はある程度調整できてしまうためです。