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2.貸倒れの処理

り:今回は貸倒れの処理について見ていくよ。ここでは、実際に貸倒れが生じた場合の処理を勉強するんだ。まずは、貸倒引当金設定後の貸倒れの処理から。

(1)貸倒引当金設定後の貸倒れ

り:これは、決算で貸倒引当金を設定した後、つまり次期以降に貸倒れが生じた場合の処理なんだ。

ケ:貸倒引当金を設定してその後に貸倒れが生じた場合だね。

り:そう。この場合には、貸倒れた債権を減少させるとともに、設定した貸倒引当金を取り崩す処理を行うんだ。

ケ:貸倒れた債権を減少させて、貸倒引当金を取り崩すってことは、仮に売掛金が貸倒れたのであれば、借方、貸倒引当金、貸方、売掛金ってこと?

り:そうだね。ただ実際に貸倒れた金額が設定した貸倒引当金の金額、つまり貸倒ると予想した金額を超える場合もあるんだ。この場合には、貸倒引当金を超える部分を貸倒損失という勘定で費用処理するんだ。

ケ:貸倒損失か。

り:これも具体例を見た方が早いから、例9−5をみてね。例9−5は、得意先が倒産し売掛金500円が回収不能になる問題だね。そして貸倒引当金の残高が300円ある状態。まずは売掛金500円が回収不能なんだから、売掛金を減少させないといけないよね。だから貸方、売掛金500円。そして今回、貸倒引当金の残高が300円あるからまずはこれを取り崩すんだ。だから借方、貸倒引当金300円。最後に残りの200円は貸倒損失として処理するから借方、貸倒損失200円となるんだ。

ケ:うん。一つずつ考えていけば難しくないね。

り:そうだね。一気に処理するんじゃなくて、一つずつ考えていってね。じゃー次は、貸倒引当金設定前の貸倒れの処理をみていくよ。

(2)貸倒引当金設定前の貸倒れ

ケ:貸倒引当金設定前?

り:そう。貸倒引当金を設定するのは決算日だから、当期発生した売掛金がその期のうちに貸倒れた場合だね。この場合は、前期に設定した貸倒引当金の残高があったとしても、貸倒れた売掛金に対して設定したものじゃないから、これを充当することはできないんだ。ってことはどういう処理になると思う?

ケ:さっきと同じように考えると、貸倒引当金でまかなえない部分は貸倒損失として処理するんじゃない?

り:お〜正解。実はこの場合、貸倒れた全額を貸倒損失として処理するんだ。

だから問題で、貸倒引当金の残高があったとしても、それを取り崩さないように注意しないといけないよ。

ケ:わかった。

り:例9−6をみてごらん。得意先が倒産し、当期発生した売掛金500円が回収不能になった問題だね。そして貸倒引当金の残高が300円。

ケ:当期に発生した売掛金が回収不能になったパターンだから、貸倒引当金の残高があっても使っちゃいけないんだよね。

り:そう。だから仕訳は?

ケ:売掛金500円が回収不能だから、貸方、売掛金500円。そして今回は全額を貸倒損失として処理するから、借方、貸倒損失500円だよね。

り:その通り!!貸倒れの処理を行う場合に注意するポイントは2つ。1つ目は貸倒れた債権が当期に発生したものなのかどうかをチェックすること。2つ目は貸倒引当金の残高があるかどうかをチェックすることだよ。

ケ:はーい。メモしておきます。

り:うん。必要だと思ったところはメモ、いいね。その調子で頑張っていこう。それじゃ今回はここまで。次回もがんばろうね。