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第3節 手形の割引

1.手形の割引とは

り:手形の割引は、持っている手形を満期日前に現金化したいときに、手形を担保にして銀行から借入を行うことをいうんだ。

ケ:手形を担保にして銀行から借入?借入金ってこと?

り:簡単なイメージで話すと、手形を満期日前に銀行に買い取ってもらうことなんだ。そうすれば、満期日にならないと現金を受け取れないはずの手形を、現金に換えることができるでしょ。

ケ:ふ〜ん。銀行に手形を売却するイメージだね。

り:そう。ただこの場合には、銀行から割引料という手数料をとられるんだ。だから、実際に現金として受け取ることができる金額は、手形金額から割引料を差し引いた金額になるんだよ。

ケ:それはそうだよね。そうしないと、銀行が買い取るメリットがないもん。

り:この割引料っていう言葉もちゃんと覚えておいてね。じゃあ、処理についてみていくよ。

2.手形の割引の処理

り:さっき話したように、手形の割引は正確には手形を担保にした借入なんだけど、会計上は手形の売却として処理していくんだ。

ケ:さっき説明してくれた簡単なイメージってやつで処理するってこと?

り:そうだね。手形の割引を売却と考えると、手形を売ってしまうことになるから、資産である受取手形の減少として処理するよね。そして、代金は現金や当座預金として処理することになるんだけど、この金額に着目して欲しいんだ。

ケ:受け取る金額ってことだよね。手形の金額じゃないの?

り:さっき説明したけど、手形の割引を行った場合には、割引料がかかるんだったよね。

ケ:あ〜そっか。受け取れるのは手形の金額から割引料を差し引いた金額だ。

り:そうだよね。ってことは、貸方に記入した受取手形の金額よりも、借方に記入した実際の受取金額の方が小さくなるよね。この差額が割引料なんだけど、この部分は『手形売却損』っていう費用勘定で処理するんだ。

ケ:手形売却損?

り:そう。手形を売却したときに発生した損失ってことだよね。手形の割引は、手形の売却として処理するって覚えてれば、勘定科目名は覚えられるよね。

ケ:うん・・・、なんとか。

り:それじゃあ例4-7をみてみよう。「所有する約束手形500円を銀行で割り引き、割引料50円を控除した残額が当座預金口座に入金された。」っていう問題だね。

ケ:ってことは、500円の約束手形を銀行に450円で売却したって考えるんだよね。

り:そうそう。じゃあ仕訳はどうなる?

ケ:貸方「受取手形500円」、借方「当座預金450円」、そして差額は、借方「手形売却損50円」だよね。

り:完璧!手形の割引は大丈夫そうだね。今回はここまで。次回は手形の裏書譲渡をみていくよ。