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2.為替手形の処理(前回の続き)

(1)振出人の処理

リ:前回の具体例を使って説明していくよ。為替手形は手形代金の支払いを第三者に委託する証券だったよね。埼玉商店に千葉商店に対してお金を支払って下さいとお願いし、承諾してもらって、その内容を為替手形に記載して千葉商店に振り出すことになるんだ。この場合、振出人、受取人、支払人はそれぞれ誰になる?

ケ:え〜っと、振出人は当然、東京商店だよね。そして、受取人は千葉商店、支払人は埼玉商店だ。

り:そう。こんな風に、為替手形の問題は振出人、受取人、支払人が誰かを把握することが大切なんだよ。そして、今確認しているのは振出人の処理だから、東京商店の処理だね。ケロちゃん、東京商店はどんな処理を行うと思う?

ケ:為替手形を振り出したんだから、支払手形を認識しないといけないんじゃない?

り:残念だけど違うんだ。支払手形は、手形代金を支払う義務を示しているんだったよね。

ケ:うん。

り:じゃあ今回、東京商店は手形代金を支払う義務はある?

ケ:あっ、支払うのは埼玉商店だから東京商店に義務はないね。

り:だよね。だから東京商店は支払手形を認識しないんだ。

ケ:じゃあどういう処理になるの?

り:為替手形を振り出すことで東京商店がどうなったか考えてみて。東京商店はもともと埼玉商店に対して売掛金があったんだけど、自分に払ってもらう代わりに、千葉商店に払ってとお願いしたんだったよね。だから、売掛金は自分に払ってもらえない、つまり消滅したってことだね。そして、千葉商店に対して買掛金があったんだけど、自分が払う代わりに、千葉商店に払ってもらうんだったよね。だから、買掛金は自分が支払わなくていい、つまり消滅したってことなんだ。まとめると、東京商店は、為替手形を振り出した段階で、埼玉商店に対する売掛金と、千葉商店に対する買掛金が消滅したことになるんだ。

ケ:なるほど!ってことは、借方『買掛金』、貸方『売掛金』ってなるのかな?

り:そうだね。

ケ:手形を振り出したのに『受取手形』も『支払手形』も出てこないって、なんか変な感じだね(笑)

り:そうだね。だからみんなこの仕訳をよく間違えてしまうんだ。為替手形を振り出して、状況がどう変わったか考えれば間違えないはずだから、問題を解く際には、為替手形を振り出す前と後で状況がどう変わったかという点に注意してみてね。

ケ:は〜い。

(2)受取人(指図人)の処理

り:受取人の処理は、約束手形を受け取った場合と同じだよ。為替手形も受け取れば、満期日にお金を受け取ることができるから、その権利を『受取手形』で処理するんだ。

ケ:約束手形でも為替手形でも、受け取ったら『受取手形』で処理なんだね。

り:うん。それでオッケー。今回はここまで。次回は支払人の処理をみていくよ。