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前回の『減価償却をマスターしよう!』の第1回目では、「減価償却とは何か?どうして減価償却をするのか?」という点を、資産の「価値」という視点からお話しました。

資産の価値が低下することを「減価」といい、減価している状態を財務諸表に正しく表現するために、減価償却が必要となるというお話でしたね。

今回は『減価償却をマスターしよう!』の第2回目として、前回と同じテーマである「減価償却とは何か?どうして減価償却をするのか?」という点を、「損益」の視点からお話したいと思います。

今一度、テキストの説明をおさらいしましょう。

「建物や備品など、土地以外の固定資産は使用すれば劣化などにより価値が低下(「減価」)するため、減価償却という手続が必要となります。減価償却は、この減少した価値部分を当期の収益と対応させるために費用に計上する手続きであり、具体的には、資産に計上されている固定資産の帳簿価額の一部を『減価償却費』(費用)として処理します。」

という説明でしたね。

この説明の前半が、第1回目でお話した内容となります。

今回は説明の後半部分に焦点を当てます。

ポイントは「減少した価値の部分を当期の収益と対応させるために費用に計上する」という点です。

今回も簡単な事例を使ってお話したいと思います。

~減価償却という会計処理がなかったら・・・~

とある会社が×1年度の期首に営業用の車を100万円で購入しました。

この車は10年使うことが想定されています。

会社はこの車でバリバリと営業・販売活動を行い、×1年度の1年間で15万円の売上収益をあげました。

ここで、もし減価償却という会計処理をせず、車の購入代金100万円の全額を今期の費用として処理をしたら、会社の営業成績はどうなるでしょうか(×1年度の収益と費用は上記のみとします)。

×1年度は85万円の損失(15万円-100万円=-85万円)が計上されることになります。

そして、×2年度も同様の活動を行い15万円の売上収益をあげたとすると、×2年度は15万円の利益が計上されることになります。

×1年度も×2年度も、同じだけの活動をしたにもかかわらず、×1年度は85万円の損失が計上され、×2年度は15万円の利益が計上されます。

これで会社の営業成績を正しく表現していることになるでしょうか。

もちろん答えはノーです。

これでは、車や建物などの固定資産を購入した年度は、購入した分だけ営業成績が落ち込んでしまうことになります。

この問題を解消してくれるのが減価償却なのです。

同じ事例で、今度は減価償却をした場合の会社の営業成績をみてみましょう。

×1年度の期首に100万円で購入した車は、10年間使うことが想定されていましたが、耐用年数も10年だとします。

また、減価償却の方法は複数ありますが、定額法で処理することにします。

すると、各年度で計上される費用は、10万円(100万円÷10年=10万円)となります。

営業成績はどうなるでしょうか。

×1年度と×2年度はどちらも収益が15万円ですから、減価償却費の10万円を差し引いた5万円が各年度の利益として計上されます。

減価償却の会計処理を行うことで、各年度の会社の営業成績を正しく測ることができました。

これで、損益計算書で損益を正しく表現することができるわけですね。

いかがでしたでしょうか。

今回は『減価償却をマスターしよう!』の第2回目として、前回と同じテーマである「減価償却とは何か?どうして減価償却をするのか?」という点を、「損益」という視点からお話しました。

次回は第3回目として、減価償却の方法に焦点を当ててお話したいと思います。

簿記3級では定額法しか登場しませんが、実は他にもあるんですよ!