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受取手形・支払手形
受取手形とは、業務取引により取引先より受け取った手形です。
支払手形とは、業務取引により取引先に振り出した手形です。
受取手形・支払手形両者について約束手形と為替手形が存在します。
前回の「【詳細】 貸借対照表の流動資産・流動負債②(受取手形・支払手形 その1)」の続きとなりますが、簿記上の手形の処理については非常に論点が多いところでもありますので、1つずつ見ていきましょう。
為替手形とは
「為替手形」とは、手形の振出人が第三者(支払人)にあてて、手形の受取人に対して一定金額を支払うよう委託した証券です。
為替手形の登場人物は「振出人」と「受取人(指図人)」と「支払人(引受人・名宛人)」の3人です。
以下それぞれの処理をみていきます。
為替手形の処理
(1)振出人の処理
まずは、為替手形の仕組みからみていきます。
仮に、東京商店には得意先である埼玉商店に対して売掛金が、仕入先である千葉商店に対して買掛金があったとします。
通常であれば、埼玉商店からお金を回収し、千葉商店にお金を支払うという2つの取引を行います。
しかし、為替手形を用いればこれら2つの取引を1つの取引で済ませることができます。
具体的には、埼玉商店に対して「私にお金を支払う代わりに千葉商店にお金を支払って下さい」というお願いをします。
そして、埼玉商店が承諾してくれれば、その内容を記載した為替手形を千葉商店に対して振り出します。
これで、東京商店は、埼玉商店からのお金の回収と、千葉商店へのお金の支払いを完了することができます。
したがって、東京商店は、為替手形を振り出した段階で、埼玉商店に対する『売掛金』と千葉商店に対する『買掛金』の消滅を認識します。
(2)受取人(指図人)の処理
為替手形を受け取った場合、満期日(支払期日)にお金を受け取ることができるという権利が生じるため『受取手形』(資産)を認識します。
(3)支払人(引受人・名宛人)の処理
為替手形を引き受けた場合、満期日(支払期日)にお金を支払わなければならないという義務が生じるため『支払手形』(負債)を認識します。
仕訳例
仕訳としては次の2つをおさえておきましょう。
・例1
東京商店は千葉商店に対する買掛金(100円)を支払うため、得意先埼玉商店を名宛人とする為替手形を振り出し、埼玉商店の引き受けを得て、千葉商店に交付した。
埼玉商店(引受人・支払人・名宛人)
(借)買掛金 100円/(貸)支払手形 100円
東京商店(振出人)
(借)買掛金 100円/(貸)売掛金 100円
千葉商店(受取人・指図人)
(借)受取手形 100円/(貸)売掛金 100円
・例2
上記例1の為替手形(100円)が満期日をむかえたため、当座預金により決済された。
埼玉商店(引受人・支払人・名宛人)
(借)支払手形 100円/(貸)当座預金 100円
東京商店(振出人)
仕訳なし
千葉商店(受取人・指図人)
(借)当座預金 100円/(貸)受取手形 100円