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今回は固定資産の減価償却方法の一つである定率法について説明します。
1.定額法と定率法
3級で勉強した定額法は、固定資産の価値の減少(減価)が毎期一定と仮定して減価償却費を計算する方法でした。具体的には、取得原価から残存価額を控除した金額を耐用年数で割ることで、1年分の減価償却費を計算する方法でしたね。
これに対し定率法は、固定資産の減価が毎期一定率と仮定して減価償却費を計算する方法です。
定額法は毎期一定額で減価する、そして定率法は毎期一定率で減価する。
まずはこの違いをイメージしましょう。
2.定率法の計算方法
定率法は、固定資産の取得原価から減価償却累計額(既に減価償却費として計上した額)を差し引いた残額(これを帳簿価額といいます)に、一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法です。
減価償却費=(取得原価 – 減価償却累計額)×償却率
ということは、1年目(取得した年度)は減価償却累計額がゼロなので、取得原価×償却率となりますね。
なお、当然ですが、期中に取得したのであれば月割計算が必要となります。
例)当期7月1日に取得した備品(取得原価¥50,000)の1年目から3年目までの減価償却費を計算しなさい。
なお、減価償却方法は定率法を採用しており、当該備品の償却率は20%、記帳方法は間接法を採用している。会計期間は4月1日から3月31日までの1年間である。
◆1年目の減価償却
(減 価 償 却 費) 7,500 / (減価償却累計額) 7,500※①
※① 取得原価:¥50,000、減価償却累計額:¥0
⇒減価償却費:(¥50,000 − ¥0)× 20% × 9ヶ月/12ヶ月= ¥7,500
◆2年目の減価償却
(減 価 償 却 費) 8,500 / (減価償却累計額) 8,500※②
※② 取得原価:¥50,000、減価償却累計額:¥7,500
⇒減価償却費:(¥50,000 − ¥7,500)× 20% = ¥8,500
◆3年目の減価償却
(減 価 償 却 費) 6,800 / (減価償却累計額) 6,800※③
※③ 取得原価:¥50,000、減価償却累計額:¥16,000(=¥7,500+¥8,500)
⇒減価償却費:(¥50,000 − ¥16,000)× 20% = ¥6,800
3.定率法の特徴
定率法は、帳簿価額に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法です。
そして、この基礎とのなる帳簿価額は毎期減価償却費を計上するごとに小さくなっていくため、結果として、計算される減価償却費も毎期どんどん小さくなっていきます。
つまり、定率法によれば固定資産の使い始めた初期により多くの減価償却費を計上して、後期には少ない減価償却費が計上されるということになります。
このように定率法は、初めのうちにより多くの減価償却費が計上できる方法だということを是非知っておいてください。