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今回は固定資産の減価償却方法の一つである生産高比例法について説明します。
1.生産高比例法とは
生産高比例法は、生産高(利用度)に応じて減価償却費を計上する方法です。つまり、固定資産を使った分だけ減価償却費を計上するということです。
当該減価償却方法が適用できるのは、固定資産の総利用可能量が物理的に把握でき、かつ、減価が主として固定資産の利用に比例して発生するものに限られます。
具体的な例を挙げると車両や航空機などがあります。
2.計算方法
生産高比例法は、取得原価から残存価額を控除した要償却額に、当期の利用量を総利用可能量で割って算定した当期の利用度を掛けて減価償却費を計算します。
言葉ではイメージしにくいので、簡単な例を使って説明します。
例えば、10万㎞走れる車両を¥500,000で購入したとします(残存価額は取得原価の10%)。そして、当期において2万5千㎞走ったとします。
この場合、当期の利用度は以下のように算定できます。
2万5千㎞ ÷ 10万㎞ = 25%
そして、要償却額にこの利用度を掛けると減価償却費が計算できます。
(¥500,000 – ¥50,000)× 25% = ¥112,500
なお、要償却額の部分は「¥500,000 × 90%」と置き換えることができるので、残存価額が取得原価の10%の場合には、このように計算する癖をつけておくと便利です。
簡単な数値例でイメージが持てましたか?
それでは例題を確認しましょう。
例)以下の条件に従い、各期の減価償却費を計算しなさい。
対象資産:車両
取得年月日:×1年5月1日
取得原価:¥1,000,000
残存価額:取得原価の10%
総走行可能距離: 50,000㎞
会計期間:4月1日〜3月31日
記帳方法:間接法
各期の走行距離
1年目: 6,000㎞
2年目:15,000㎞
◆1年目の減価償却
(減 価 償 却 費) 108,000 / (減価償却累計額) 108,000※①
※① ¥1,000,000 × 90% ×(6,000㎞/50,000㎞)= ¥108,000
◆2年目の減価償却
(減 価 償 却 費) 270,000 / (減価償却累計額) 270,000※②
※② ¥1,000,000 × 90% ×(15,000㎞/50,000㎞)= ¥270,000
【注意点】
生産高比例法の場合、資産を期中に取得したとしても月割計算は行いません。例えば本問の車両は5月1日に取得していますが、当期の走行距離6,000㎞というのは5月1日から3月31日までの間の利用量であるため、別途月割計算を行う必要はないのです。