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今回は固定資産の滅失について説明します。
1.固定資産の滅失とは
固定資産の滅失とは、火災や地震などによって固定資産がなくなることをいいます。
固定資産には保険を掛けている場合があり、固定資産の滅失の処理は、滅失した固定資産に保険を掛けているかどうかで異なります。つまり、保険金を受け取れるかどうかで処理が変わってくるということです。
なお、今回は火災により固定資産が滅失した場合を前提として説明していきます。
2.保険を掛けていない場合
固定資産が滅失したときは、固定資産の帳簿価額を減額します。
そして、滅失した固定資産に保険を掛けていない場合、保険金を受け取ることはないため、滅失した時点で固定資産の帳簿価額を『火災損失』(費用)または『災害損失』(費用)で処理します。
例)当期首において、倉庫が火災により消失した。当該倉庫の取得原価は¥50,000であり、減価償却累計額は¥23,000、間接法により記帳していた。なお、当該倉庫には火災保険を掛けていなかった。
(減価償却累計額) 23,000 / (建 物) 50,000
(火 災 損 失) 27,000 /
3.保険を掛けている場合
保険を掛けている場合には、(1)固定資産が滅失したとき、(2)保険金の額が確定したときの2段階に分けて処理を考えていきます。
(1)固定資産が滅失したとき
滅失した固定資産に保険を掛けている場合、保険会社が滅失の状況等を調査し、後日、支払われる保険金を連絡してきます。そのため、固定資産が滅失した時点では、いくら保険金を受け取ることができるか確定せず、損失の金額が確定しません。
そこで、保険を掛けている場合には、保険金が確定するまで、一旦、固定資産の帳簿価額を『火災未決算』勘定もしくは『未決算』勘定で処理しておきます。
例)当期首において、倉庫が火災により消失した。当該倉庫の取得原価は¥50,000であり、減価償却累計額は¥23,000、間接法により記帳していた。なお、当該倉庫には¥30,000の火災保険を掛けている。
(減価償却累計額) 23,000 / (建 物) 50,000
(火 災 未 決 算) 27,000 /
(2)保険金の額が確定したとき
保険会社から保険金が確定した旨の連絡を受けたときは、火災による損失額が確定するため、一旦計上しておいた『火災未決算』勘定を取り崩します。
なお、この保険金が確定した旨の連絡を受けた時点では、実際に保険金を受け取った(支払われた)わけではないので、受け取るべき保険金の額を『未収金』(資産)として処理します。
そして、取り崩した『火災未決算』勘定と資産計上した『未収金』勘定の差額は、差額が借方に生じれば『火災損失』(費用)または『災害損失』(費用)、差額が貸方に生じれば『保険差益』(収益)として処理します。
つまり、受け取れる保険金の額が滅失した固定資産の帳簿価額より小さければ損をした状態であるため『火災損失』(費用)で、逆に大きければ得をしている状態であるため『保険差益』(収益)で処理します。
例)火災により滅失した倉庫(滅失時に火災未決算¥27,000を計上)について、保険会社から保険金¥25,000を支払う旨の連絡があった。
(未 収 金) 25,000 / (火 災 未 決 算) 27,000
(火 災 損 失) 2,000 /