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今回は社債の決算時の処理について説明します。

決算時における社債の処理には、1.償却原価法の適用、2.社債発行費の償却、3.社債利息の調整があります。

1.償却原価法の適用

社債の発行金額(払込金額)と額面金額が異なる場合で、両者の差額が金利の調整と認められるときは、決算において償却原価法を適用し、帳簿価額の修正を行います。

償却原価法とは、例えば、額面金額が¥10,000、払込金額が¥9,400の場合、両者の差額である¥600を、償却期間にわたって社債の帳簿価額(当初¥9,400)に加算していくことをいい、その結果、満期日(償却期限)に帳簿価額が額面金額と一致することとなります。

この償却原価法には、利息法と定額法という2種類の方法が存在しますが、2級では定額法のみを学習します。

なお、利息法は1級の論点となります。

定額法は、額面金額と払込金額の差額を毎期同額だけ帳簿価額に加減していく方法です。

先程の例(額面金額¥10,000、払込金額¥9,400)で、社債の償却期間が5年であれば、決算において、毎期¥120(¥600÷4)ずつ帳簿価額に加算することになります。

この金額分だけ社債の帳簿価額に加算することになるので、『社債』(負債)の増加として処理します。また、相手科目(借方科目)は『社債利息』(費用)で処理します。この社債利息勘定を使用するのは、額面金額と払込金額の差額は金利の調整の性格を有しているためです。

なお、期中に社債を発行した場合には、この償却原価法の適用に際して、月割計算を行う必要があります。

例)×5年3月31日(決算日)において、×4年7月1日発行の社債(額面金額¥10,000、償還期間5年、払込金額¥9,400)について、償却原価法(定額法)の適用を行う。

(社債利息)  90 /(社  債)  90※

※ ¥90 =(¥10,000 − ¥9,400)÷ 5年 ÷ 12ヶ月 × 9ヶ月

2.社債発行費の償却

社債発行費を繰延資産として処理した場合には、決算において償却します。なお、償却期間は社債の償却期間内であり、期中に支出した場合には、償却額の計算において月割計算を行う必要があります。

例)決算において、当期首に支出した社債発行費¥500の償却を行う。なお、償却期間は社債の償還期間である5年とする。

(社債発行費償却)  100 /(社 債 発 行 費)  100※

※ ¥100 =¥500 ÷ 5年

3.社債利息の調整

社債の利払日と決算日が異なる場合、利息が会計期間に対応するよう必要な調整を行います。

例えば、社債の発行日が×2年1月1日で、利払日が12月31日(年1回)、決算日が3月31日の場合、社債を発行して初回の決算日(×2年3月31日)においては、利息の支払が生じていないので、『社債利息』(費用)が何も計上されていない状態となっています。しかし、当期は1月1日から3月31日の期間に対応する利息を費用計上すべきであるため、この場合、3ヶ月分の『社債利息』(費用)を計上し、相手勘定(貸方勘定)には『未払社債利息』(負債)を計上します。

例)×5年3月31日(決算日)において、×4年7月1日発行の社債(額面金額¥10,000、償還期間5年、払込金額¥9,400、利息3%、利払日(毎年)6月30日)について、社債利息の調整を行う。

(社 債 利 息)  225※ /(未払社債利息)  225

※ ¥225 = ¥10,000 × 3% ÷ 12ヶ月 × 9ヶ月