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今回は、割賦販売の回収基準について説明します。

まず割賦販売の回収基準がどんな基準なのかですが、これは割賦販売に関する収益を、代金を回収した時点で計上するという基準です。

これと対比される販売基準に関しては、「特殊商品売買 その7『割賦販売』<販売基準>」を参照して下さい。

さて、代金を回収したときに収益を計上する回収基準ですが、具体的な処理方法としては「対照勘定法」と「未実現利益控除法」という2つがあります。

まずは対照勘定法について説明します。

対照勘定については「特殊商品売買 その6『試用販売』②」について詳しく紹介しているので、今回は簡単に説明していきます。

対照勘定ってなに?という人は、まず上記の記事をじっくり読んでみて下さい。

回収基準である対照勘定法では、代金を回収したときに収益を計上するので、お客さんに商品を引き渡したときには収益を計上しません。

そのため、対照勘定を使って割賦販売が行われたということをメモしておきます。具体的には、借方『割賦販売契約』、貸方『割賦仮売上』という仕訳を切ります。

例)例)原価¥2,500の商品を¥4,000で販売し、代金は5回の均等払いで受け取ることとした。なお、収益の計上は回収基準によること。

(割賦販売契約)  4,000 / (割賦仮売上)  4,000

その後、代金を回収したときには、回収した分だけ『割賦売上』(収益)を計上します。

そして、代金を回収し、収益を計上した部分については対照勘定を取り消します。

例)以前割賦販売していた商品(原価:¥2,500 売価:¥4,000 5回の均等払い)に関して、3回目の代金を現金で回収した。

(現   金)   800 / (割 賦 売 上)   800

(割賦仮売上)   800 / (割賦販売契約)  800

では次に未実現利益控除法について説明しますが、実はこれ1級の範囲の論点なんです。

参考までに説明しますが、少し難しい処理なので、難しくて嫌だなと思ったらここは飛ばして大丈夫ですよ。無理しないで下さいね。

では説明します。

未実現利益控除法の処理は、実は、販売基準と同じ仕訳になるんです。

具体的には、商品引渡時、代金回収時の処理が同じです。

つまり、商品引渡時には、借方『割賦売掛金』(資産)、貸方『割賦売上』(収益)ですね。そして、代金回収時には、仮に現金で回収したのであれば、借方『現金』(資産)、貸方『割賦売掛金』(資産)です。

しかしこれだけだと、販売時に収益を計上していることになってしまいますよね。

回収基準では、回収時に収益を計上しなければいけないので、これらの仕訳に加えて決算時に未実現部分、つまりまだ代金の回収が出来ていない部分の利益を控除する仕訳を行います。

と言われてもイマイチイメージできないですよね。

具体例を使って説明します。

例えば、原価¥2,500の商品を¥4,000で販売し、代金は5回の均等払いの条件だった場合で、代金を3回支払った段階で決算を迎えたとします。

この時点で代金を回収した部分と未回収の部分を分けると以下のようになります。

回収済:代金¥2,400、原価¥1,500、利益¥900

未回収:代金¥1,600、原価¥1,000、利益¥600

回収基準では、代金を回収したときに収益を計上する、つまり利益が実現したと考えるので、未回収部分に対応する利益¥600についてはまだ未実現の状態になるんです。

そのため、未実現利益控除法では、決算時にこの¥600円を調整します。

具体的には、以下の仕訳を行います。

(繰延割賦売上利益控除)  600 / (繰延割賦売上利益)  600

借方の繰延割賦売上利益控除は収益のマイナスとして扱い、貸方の繰越割賦売上利益は割賦売掛金のマイナスとして扱います。

この仕訳を切ることで、代金を回収して実現した利益部分だけを損益計算書に計上することができるんですね。

先程も言いましたが、未実現利益控除法は1級の論点なので、まずは対照勘定法をしっかり押さえて下さい。