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前回は、『財務諸表を読み解こう!』シリーズの第6回目として、キャッシュフロー計算書についてお話しました。
簿記3級では、貸借対照表と損益計算書については勉強しますが、キャッシュフロー計算書は登場しませんので、馴染みの無い方も少なくないかと思われます。
そこで、今回のお話の前に前回のおさらいを少ししておきましょう。
キャッシュフロー計算書は、キャッシュ(お金)のフロー(流れ)を算定・表示する計算書です。
損益計算書は利益を算定・表示する計算書でしたが、「利益額」と「お金の増減額」は信用取引が一般的である現代においては必ずしも一致しないため、お金の動きを示す計算書であるキャッシュフロー計算書が必要となるわけです。
以上が前回の簡単なおさらいになります。
さて今回は、損益計算書で算定・表示される利益額の性質と、キャッシュフロー計算書で算定・表示されるお金の増減額の性質についてお話をすることで、利益とお金の動きが一致しない理由を解明したいと思います。
~利益について~
損益計算書で算定・表示される利益というのは、売上高などの収益から売上原価などの費用を差し引くことで算定されます。
ポイントは、収益と費用を計上する基準です。
収益と費用は『発生主義』に基づいて計上されます。
発生主義とは、現金の動きに関係なく、収益や費用が発生した時点で認識するという考え方です。
具体例を使って説明しましょう。
・収益について
商品を100円で販売し、代金は来月末に受け取る場合、販売時の仕訳は次のようになります。
売掛金 100 / 売上 100
このように、現金の受取りが済んでいなくとも、商品を販売した時点で売上という収益を計上します。
・費用について
期首に商品を製造する機械を500円で購入したとして、この機械が10年間使用できるもので、代金の支払いは全額購入時に現金で行なっている場合、当年度の減価償却の仕訳は次のようになります(定額法、残存価額0、間接法という前提)。
減価償却費 50 / 減価償却累計額 50
このように、現金の支払いは500円あったにもかかわらず、当年度は減価償却費という費用を50円計上します。
以上のように、発生主義においては、収益と費用を現金の動きとは関係なく認識します。
そして、損益計算書では発生主義を基準として収益と費用が計上され、その差額として利益が算定・表示されるわけです。
一方、キャッシュフロー計算書はお金の出入りをそのまま表示することでお金の動きを算定・表示します。
いかがでしたでしょうか。
損益計算書で算定・表示される利益額と、キャッシュフロー計算書で算定・表示されるお金の増減額とが異なる理由がお分かりいただけたかと思います。
損益計算書では利益が計上されていても、会社が倒産してしまうという『黒字倒産』の話を聞いたことがあるかもしれません。
会社はお金が無くなったらオシマイです。
ですから、お金の動きを示すキャッシュフロー計算書が重要になるわけですね。
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